2008年1月31日

5、知る技術

 僕がいちばんいいと思うのは、積極的にOB・OG訪問をすること。というのも、僕が今まで書いてきたことすべてをOB・OG訪問では同時に試せるからだ。

 基本的なコミュニケーションの練習になる。また相手の会社を知ることができる。その上で、磨いてきた自分を最大限伝えてみる。何をどう語ればいいかの反応を見る。ちょっとした面接の練習のようなものだ。

 そしてOB・OG訪問が終わったら、家に帰って反省する。それを友人と相談しあい、共有するのもいいだろう。5人で協力すれば、単純計算で5倍の情報を集められる。生きた情報は多いほどいい。精度が増すし、アンテナも増える。就活中は何かと気をつかって友人と連絡を取らない人が多いけれど、就活がどういうものかの共有ができていれば、仲間と協力することはできるはずだ。

 OB・OG訪問は単純に情報をもらうだけの場にするにはもったいない。その人に愛され、応援してやろうと思わせること。ひいては「こいつと一緒に仕事したいな」と思わせること。それを第一目標に置いた「挑戦する場」とすべきだと思う。

 OB・OG訪問で相手に好かれるようになれば、企業のリアルな情報も入ってくるだろう。それは職場環境の本音というようなものもあるけれど、大切なのはその人の仕事への賭け方だと僕は思う。そのストーリーを聞くことで「この企業へ行きたいな」という思いも生まれ、エネルギーも湧いてくる。

 ここでリアルな情報を得られれば自分が合うかどうかも判断しやすくなる。自分から尋ねれば「短い時間での印象だけど」という前置きをつけた上で、どのように向いてるか・向いてないかという話をしてくれる人もいるだろう。

 もちろんOB・OG訪問に限らなくたっていい。たとえば説明会や相談会の場でリアルなサシ語りに持ち込むのも考えられる。ただそういう場でも別の機会を作れるくらいに踏み込んで関係を作ることが大切だと思う。逆に言えば、それくらいまでなっていれば自然と情報が入ってきて、良いサイクルで就活をやっていけるはずだ。

 もっと広げた手段だってあると思う。ネットがあり、携帯電話があり、さらにはmixiなんてものまである。いまや世界は本当にSix Degrees of Separation:「6次の隔たり」でしかないと思う。ちょっと本気出せば会いたい人に必ずたどりつける。ましてや就活というフィールドなら、そう難しいことなくコンタクトは取れる。そうしてつながりを構築する力を磨くことも、就職活動では大きく役に立つはずだ。

 こうしたことは数をこなさなければあまり意味がない。2,3人じゃ比較対象として少なすぎる。それで終わりにすると、「ここしかない!」みたいなことにつながりかねない。最低でも30人くらいは当たってみるべきだと思う。

 アダムとイブみたいに男女1人ずつなら必ずペアになれる。でも、実際には出会う男女はたくさんいる。ならばできるだけいろいろな人を知った方が、よりいい相手にめぐり合えると思う。

 単純な理屈だけれど、企業としても「御社しかない!」よりも「他もたくさん見たけれど、中でもやはり御社に行きたいと思う理由がこれだけあります」と言われた方が「よく物事見えてるし、うちの会社を分かってるな」という評価が下されるんじゃないだろうか。

 いっそのこと就活へ向けて名刺を300枚くらい作って、全部配りきるくらいのつもりでやったらいいと思う。そして、必ず数値目標を決めること。何日までに何人、何枚、何社。長期的な目標値を決めて、同時に短期的な今日からの目標値も決める。そして、毎日見直す。まず今日、今すぐ。明日じゃ遅い。それをしないと、いつまでたっても動けない。

 最終的には、こうして「良いサイクルでの就活の習慣化」まで到達できれば、かなりスムーズに進むんじゃないかと思う。迷いがあっても、僕のように決定的に就職に向いていないというのでない限り、行きたい企業も見えてくると思う。習慣化には日々の思考・努力が欠かせない。

 思い出すと、僕も初恋のときはいつも恋愛の大先輩とも言える友人たちにかわるがわる相談してた。本も読んだし、ネットも使ったし、周りの男たちに、そして女の子にまで相談してた(最悪だ)。でも当時の俺からすると、ものすごく恋愛経験豊富なやつらだった彼らが、何にもまして役に立ったなぁと思う。あれから5年たった今、僕らは時々集まっては酒を飲む、かけがえのない仲間になってる。


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 最後にひとつ。調子に乗りがちな自分への戒めも兼ねて。

 友人や先輩に相談するのも大切だと思う。特に初期段階での「自分磨き」をする際にはかなり役に立つ。思ってもなかった「強み」「弱み」を気づかせてくれることもあるだろう。でもやはり「知っている人」という甘えが出るし、相談に乗る側も身近過ぎて見えていないことも多い。これは僕自身が相談に乗ってきて感じたことだ。

 知り合いに語るのと、初対面の人に語るのとでは、かなり違う。見ず知らずの人に、いかに自分を伝え好意を持ってもらうかが大切だと思う。そして、そういうことが苦手だなと感じる人こそ、すこしハードルが高いように見えても、OB・OG訪問を繰り返す意味はあるんじゃないかな。