2008年7月14日

美しき人間の日々


 昨晩日付が変わってから、ある後輩と「冷静と情熱の間」に座ってビールを空けた。夏の夜は僕が好きな時間のひとつだ。3年前には「端麗グリーンラベル」が横にあって、2年前には「Heineken」がいつも隣にあった。物思いにふけることが多いこの頃は、ひとつひとつの物事にまつわるストーリーに敏感になる。

 彼は将来に対する不安を語っていた。自分の中途半端さ、人と違う道を行くことへの恐れ。「どうすればいいのだろう」という不安げな表情。答えを出すこともなく、行動に移しきることもなく、不安を不安のまま僕にぶつける彼は、今の僕からすれば、自分の人生を曖昧なまま扱いすぎているように感じられた。

 僕は彼に語っていた。僕は、溜め息はつくけれど、不安にはあまりならない。不安がないと言えば嘘になる。でもそれを語っても仕方がない。人生は打率だ。その道の長さに溜め息が漏れることはあっても、ただ自分の信じたフォームで黙々とボールを打ち返すだけだ。いつかヒットが、ホームランが出ることに賭けて。

 ずいぶんと厳しいことを言っていたように思う。自分だって彼の学年の頃はもっと単純な夢追い人だったのに。「1日24時間あるうちの23時間55分はため息だっていい」、なんて話しながら、俺はいつからこんなにストイックになったんだろうと思わず笑ってしまった。

 「それでも 本当の事は それでも わからないの」

 それでも。残りの300秒を糧に日々をやり過ごしていく。

 【フォト】 毎年思うのだけれど、夏の盛りはいつの間にかやってきて、気がつかないうちに過ぎ去ってしまうんだよなぁ。。。