2008年10月10日

幸福の分かれ目

 危険な道を選ぶということ。

 僕がそのことに自覚的になったのは、大学3年の末頃だった。たくさんの出逢いや読書の積み重ねでたどりついた結論だが、決定的だったのは岡本太郎との出会いだ。それは、やはり僕のバックグラウンドが歩ませた道なのだろう。

 大学に入る前から、誰もが「幸せになれるよ」と思っている道が、必ずしもそういうわけではないことに気がついた。今みたいに言葉にできるわけではなかったけれど、僕の直感は明らかにそれを告げていた。どういう道を選べば、僕は幸せになれるのだろう?

 中学や高校を辞めたのも、その疑問があったからだと思う。勉強して、いい成績をとって、いい大学へ行って、稼ぎのいい職業につくことが、果たして本当に幸せなのか? その答えは明らかにNoだった。そんな道を誰も彼もが息せき切って競い合って走っている。 なぜだろう? その疑問が晴れるのは、大学に入って半ばも過ぎてからだった。

 僕なりにたどりついた答えは、自分の幸福は自分で決めるしかない、ということだった。このblogのタイトルは「午後2時のビール」という。その理由は、サイドバーに書いた。幸福になれるか否かの分かれ目は、自分の「好き」を自分で守れるか否かだということ。

 誰もが認める幸福のレール従って生きるのは、とても安定したレールに思える。でも、僕にはそのレールの先にたどりつく場所が、危ういように思えた。だから僕は、誰がなんと言おうと自分が後悔しない道を選んできた。自分が大切だと思うものは、手放さず握り続けようとしてきた。

 そのように何かを守るためには、力が必要だった。早稲田というフィールドは、僕に必要な「力」を身につけさせてくれる場所であるように思えた。それは決して学歴などという単純なものではなく、手触りのある、自分の感情と共にある、生々しい力だ。振り返れば、それを手に入れるために僕は大学受験をはじめたのだと思う。

 自分の大切なものを、決して手放さないこと。誰になんと言われようとも、それだけは守っていければいいなと願う。


 【フォト】 夜の大隈講堂2。