2008年10月5日

EXPLOSION -爆発-

 大学生が大規模に行うイベントの多くは、よそからブランドを借りてきて箱を埋める形式のものが多い。僕がやってきた政友会の講演会などはその最たるもので、呼ぶ政治家の知名度によって客の入りが露骨なまでに違う。本人達がどれだけ広報を頑張っても、ブランドがなければ客が埋まらない。だからこそブランドにこだわり、その上でいかに集客へとつなげるかという部分が多くのイベント運営の肝になる。

 それはそれで学ぶべきことが多く、意味のあることだ。ただ僕自身は、自前で価値をつくることを大切にしてきた。意味のないところに、意味を作り、見出していくこと。そしてそれを広めていくこと。言い換えればブランディングだ。それは個人のレベルでは「自分創り」と言えるだろう。自ら問いを投げかけ、意味を見出し、自前の価値をつけていくということ。

 ブランドを借りてくるのではなく、自前でブランドをつくること。他には替えられない価値を創るということ。僕は個人においても、組織においても、そこに魅力を感じる。

 昨夜のSHOCKERS STAGEは、まさしくSHOCKERSが5年間に創り上げてきた価値が表出されていたと思う。大隈講堂が大入り満員、立ち見まで出ていたことだけでも十分に証明されているだろうが、それ以上の魅力を僕は感じた。

 正直に言えば、僕は大学生が作るイベントの多くに失望してきた。仲間がやるイベントを除けば、単純なイベントとして芯から心が震えるものは少なかった。僕の感受性や想像力が及ばなかったこともあるとは思う。でも、友人が多かったという贔屓目を差し引いても、昨日のSHOCKERS STAEGはエンターテイメントとして最高だった。それは、彼らが観る人を本気楽しませようという心を共有していたからに思える。

 「ショックを与える」という意味の込められた雷マークのSHOCKERS。「日本を元気に!世界を笑顔に!」というモットーの彼らのステージは、見る人にエネルギーをくれる。「EXPLOSION -爆発-」というテーマに違わぬ、彼らの全力で、命懸けで、何より笑顔で取り組んでいる挑戦を見て、僕自身、自分の笑顔をもうすこし明るくしよう、と思わされた。

 金をもらわないアマチュアのイベントの多くは「自己満足」で終わりがちだ。SHOCKERSは日々の弛まぬ努力に加え、「応援する」という元々のコンセプトゆえに、観客を楽しませようという意識が生まれやすく、あれだけのステージを創り上げることができたのかもしれない。学生が自己満足で終わってしまうのは技術的に仕方ない部分がある。でも、だからこそ、その分だけ彼らの意識の高さを見習うべきであるに違いない。

 SHOCKERS STAGEで始まった後期の早稲田のイベントは、今年も自前の価値を創ろうとするチャレンジングな企画がたくさんあるだろう。僕の周りだけでも、10月末の稲穂祭、11月頭の早稲田祭、そして12月11日のWEF(Waseda Entertainment Factory)に、12月28日のMEGA PEACE vol.2と続いていく。

 WEFの面々が昨日のSHOCKERS STAGEを見て(素晴らしすぎて)ずいぶんと凹んでいた。たしかに、それだけのものだった。自前の価値を創ることの難しさに直面している彼らが、ここからどれだけ奮起するのかが楽しみだ。


 【フォト】 終演後にもなかなか人が去らない大隈講堂前で、SHOCKERS立ち上げ人の一人で、復帰組のぎっちょ君と。ショッカー役で「これからどうする?」と言う彼に、「卒業しろ」という観客からの声がこの日一番笑えた。