2008年10月22日

MEGA PEACEと「つながり」 (2/4)

 「5cmの穴を空ければ世界は変わる」と書いた。でも、現実に部屋に穴を開けることはできない。だから、隣部屋の住人と理解し合うことはできない。できることなら「一緒に歌を歌おうぜ」って誘えれば最高のMEGA PEACEだけど、そんなことができるわけはない。じゃあ、こんなお話はどうだろう。

  MEGA PEACE vol.2当日。ふらっと大隈講堂に立ち寄って、見ず知らずの人間と時を共有し、ほんの一瞬だけ心を通わせた場から帰ってきたひとりの男。相変わらず隣部屋の住人がうるさくしているのを聞いて、「俺も今晩騒いだしな」と思う。テレビをつけながら「騒がしいけど、まぁ悪い奴じゃないのかもな」って考える。

 深夜番組を見ながら、「そういえば今日のよく分からない音楽イベント、一歩踏み出すとか、他者への想像力とか言ってたな・・・。あの爺さんが語ってたことにはちょっと感動したな」なんてことを考えた後、隣部屋の奴のことを想像して「今度会ったら挨拶でもしてみるか」なんて思う。

 「こんな話あるわけねーだろ!」って突っ込まれるかもしれない。でも、僕にとっての人とのつながりというのは、こういう経験でしかない。それを繰り返していく過程で、次第に世界の見え方が変わった。隣部屋の奴に話しかけるなんて本当にささいなことだけれど、でもこうしたささいなことの積み重ね以外に、壁を穿つ道はないと僕は思う。

 なぜなら、僕自身が「一歩を踏み出す」という行為を続けることによってのみ、自分の道を切り拓いていてきたからだ。そして、いかにささいに思えようとも、それを実行する最初の一歩は意外と踏み出しにくい一歩だ。これは自分の経験を振り返ってみて感じることだ。


 【フォト】 夜の大隈講堂5(WASEDA125の夜)。