2010年4月6日

超・日本的経営

組織というのは見た目よりよほど複雑なもので、道塾くらいの小さな集団であっても一人のスーパースターによっては成り立たない。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツがどんな天才だと言われようと、日々の事業運営においては複数の人が協力して物事を進めているのだと僕は思っている。

彼の国においてはスーパーマン的な一人の天才が好まれる(らしい)のに対して、僕らが子どもの頃から好んで見てきたのは5人組の戦隊モノであり、やがてはスラムダンクやワン・ピースのように一人ひとりの個性を最大化させて戦う物語だった。

そこでは設定上の主人公はいるにせよ、一人の突出した才能ではなく個性の絡み合いによって話が進む。中学・高校と部活にも属さず「組織」というものが大嫌いだと公言していた僕は、一方で「仲間」という人間関係への憧れを心の内に秘めていた。

翻って、今。外から見ると道塾は僕が引っ張っているように見えるかもしれない。でも、内側で働いている人は知っての通り、この組織の経営は絶妙なバランスの上に成り立っている。それは僕やジョン、みっちゃんに加えて、今年の1月にメンバー入りした庄司によって基本的な形が整ったと思う。

ベンチャーは概して天才的創業者のような人間が持て囃される。だが、まだ未経験で未成熟な僕にそんな力はない。けれども、この4人を一人のスーパースターとして捉えれば「天才的経営者」と呼んでもいいのかもしれない。少なくとも、いつかその日はやってくるだろうと僕は信じている。

もちろんその4人だけで成り立つはずもなく、詩音、シオメ、大谷さんの3人をはじめ、道塾ではたらくスタッフは、旅立っていった卒業者たちも含めて、誰一人として欠けていたら今のようになってはいない。その上で、皆が「4人からなるスーパースター」を信じて物語を進めていければ、きっと新しい経営の在り方が生まれるのではないかと思う。

そうした意味で僕がモデルとしているのはH2Oと呼ばれたスターバックスの経営陣。ハワード・シュルツ、ハワード・ビーハー、オーリン・スミスの3人(頭文字を取ってH2O=コーヒーに欠かせない「水」)が協力し、全従業員を大切にしながら、彼らの信頼を受けて事業を展開する在り方に心惹かれる。いわゆる「日本的経営」とも「アメリカ型経営」とも違った新しい組織成長の物語

経営の在り方なんて、そんな簡単に答えは出ない。でも道塾が一人ひとりの個性を最大限発揮し、スターバックスのような素晴らしい組織に成長していけるよう、僕は僕なりに全力を尽くしていきたい。