あの懐かしい感覚が蘇ってきた。
事務所から上がって夜中の2時。半分ほど読み残していたビジネス書をトイレで読み終えて、布団にもぐりこんで意識がなくなるまで読む次の本を手に取った。そうして読みはじめた久しぶりの小説は、横になった僕を一瞬で別世界に引きずり込んだ。
それは小説と言ってもいわゆる「文学」ではなく、ビジネス書の部類に入るものだったのだが、実話として語られる主人公の生き様が強烈で、物語の世界に没入した僕から、本来は眠るべきであった時間を奪っていった。
「没入」できる小説に巡り合うと自分の心がいかに渇いていたかが分かる。数ヶ月前に「映画を見よう」と思ったことがあったが、理由は同じで、つい忘れがちになるのだが、僕がこの世界に求めているのは心ふるえる人間ドラマであり、そこから生まれる「感動」なのだ。
だが、日常において必要でないそうした感情はどうしても後に追いやられ、いつの間にか心の瑞々しさは失われていく。偶然、ふとしたきっかけで、そういえば、俺は感動を追い求めていたのだった、と気がつく。そして思い出す。すっかり忘れていたが、俺は感動を生み出す側の人間になろうとしていたはずだ・・・・・・。
ふと時計に目をやると針は5時をまわっていた。太陽を拝んで後悔するのはごめんなので、さすがに続きを読むのはやめて本を閉じた。枕元の読書灯を消し、物語世界で味わった興奮が冷めない頭で、この感情を忘れまいと思いながら、僕はひとつの決意を固めていた。
年初めに決めた今年の目標のひとつ、本を書くこと。道塾周りのことを最低一冊は書きたいと思っていたが、三冊を目指そう。そのための手を尽くす。そしてその中の一冊は物語にしよう。
僕は数年前に書きたいと思っていたような「文学」を書くことはできないだろう。でも、僕なりに物語を生み出すことはできる。僕にしか語れない言葉で、人の心をふるわせる物語を綴る。洗練されたものにはならないだろうが、不恰好でも、読んだ人の生きていく糧になるものは書ける気がする。
本当に、僕の言葉が本として出版されるのかは分からない。普通に考えれば、限りなく可能性は低い。でも、決意しないと物事ははじまらない。朝起きても自分の決意が揺らいでいないことを確認し、そして日が暮れた夜にあらためて自問自答し、それでもぶれない自分の決心を確認した上で、blogに書こうと決める。
書き上げた今、投稿ボタンをクリックしようとする。けっこう勇気がいるのだけれど、覚悟を決めて、ぽちっ、と。この記事がアップされた後、いくらか早く鼓動を打つ胸を押さえながら、きっと僕は思うだろう。よし、これで後戻りできないぜ。そして、実現へ一歩近づいた、と。
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1 Comment:
とにかく決意したことがすばらしいよ。
ばばちゃんの文章はすごくいいから
絶対大丈夫。自信持って。
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