2009年3月1日

【ブログリリース】 道塾、会社化前夜。

「2ちゃんねる」発祥、
ケータイひとつで全国どこでも
家にいながら学べる受験塾を、
早大生が立ち上げます。

 2009年3月2日、早稲田大学生6人(現在)による、日本および世界全域を対象とした大学受験塾「道塾(どうじゅく)」が会社化します(正式名称は「合同会社 道塾」)。

 道塾は、さまざまな若者の未来への「道」となる塾でありたいという想いで、2年前の2007年3月に、現在代表である馬場祐平が個人事業として立ち上げました。対面して勉強を教えるのではなく、電話またはインターネット電話(Skype)によって「勉強の方法」を教える、まったく新しい形の塾です。毎週送られてくる塾生からの学習報告レポート(メール)を元に、原則毎週1回・30分間、勉強法・スケジュール管理・モチベーション管理といったことを指導しています。

 塾生は、勉強ではなく「勉強の方法」を学ぶことで、トップレベルの受験生が行っている効率的な勉強法を短期間のうちに身につけます。同時に、勉強プランの構築やスケジュール管理の指導を受けることで、孤独な受験生活に立ち向かう術を手に入れます。また、熱意ある現役大学生と毎週30分間の対話を重ねることにより、塾生本人の自主性が引き出され、主体的に情報を調べ、学び、自ら未来の選択・決定を行っていく意思が育ちます。

 これら道塾の指導を学校や予備校と併用する塾生もいますが、一方で、道塾での指導をベースにして、参考書主体の「独学」によって受験に臨んでいる塾生もいます。

 そもそも道塾は、ウェブ上の巨大掲示板「2ちゃんねる」で人気を催した「早稲田への道」という、代表の馬場による一連の書き込みが発端となっています。馬場は(私立)中学中退、公立高校中退の後、大検(現・高卒認定試験)を経て、独学による受験勉強で早稲田大学に合格しました。その経験をもとに、短期間で成績を伸ばす勉強法・心構えを記した「早稲田への道」は、最初の馬場による投稿から5年を経た現在も読み継がれています。現在、道塾で働くスタッフの中には「早稲田への道」を読んで大学受験を志し、早稲田大学合格と同時に指導にあたっている者もいます。

 馬場の経験を土台に、読者とのやりとりを通じて築いた方法論が「早稲田への道」であり、道塾の原点です。「早稲田への道」は、早稲田大学志望者をはじめとする私立文系型の受験生向けであり、後に立ち上げた道塾はより幅広く大学受験生全般を対象にしていますが、一貫して変わらないのは「独学を支える」というスタンスです。これはすなわち、受動的になりがちな授業よりも、自ら机に向かって自分のペースで学ぶこと=「独学」を重視するということです。

 この独学主体という学習方法を教育費の面から見ると、道塾は指導に校舎(教室)を必要とせず、指導も現役の大学生が行うため、塾生は大学受験指導の塾としては圧倒的に安い費用で学ぶことができます。入塾金が一万五千円、月謝も月一万五千円です。大手予備校に行って季節講習まで含めると年間100万円を超えることは珍しくありませんが、道塾では年間通しても10万円台で収まります(4月~翌年2月で計18万円、来年度より税込み18万9千円。独学用の参考書代は別途かかりますが、使用するのは高額な専用教材ではなく、教科書や1冊1000円程度の市販教材だけです)。

 「お金がないから進学を諦める」という声を社会の表舞台の側で聞くことは少ないですが、この国の奥深くまで真摯に耳をすませれば、それが声なき声として、しかし確かに叫ばれていることが分かります。道塾を事業化してからの約2年間、その指導形態ゆえに日本全国から若者が入塾してくる中で、地方に住む塾生や、所得の低い家庭で育った塾生が目立ちました。彼らを指導しながら、厳然たる教育格差の存在を感じてきました。未曾有の不況とされる今年はその傾向が強まり、ますます広がっていくと考えられます。

 別紙の参考資料Ⅰ、Ⅱをご覧ください。Ⅰは2008年12月に出版された『進学格差』(小林雅之、ちくま新書)からの引用、Ⅱは文部科学省による県別大学進学率(平成20年度)および内閣府による県別県民所得(平成17年度)のデータです。このわずかな資料だけですべてを論じることはできませんが、所得格差と地理的要因によって進学格差が生まれていることに一定の相関性を見出すことはできるように思います。

 5年前、代表である馬場は「自分のような落ちこぼれでも、本気になれば道は開ける」という想いで「早稲田への道」を書き続けました。しかし数多くの受験生と接するにつれて、学校や社会から落ちこぼれる若者は彼らの個人的な問題というよりも、むしろ社会の構造的な問題によって生まれていることが分かってきました。現在は、そうした構造を変えるため、より広範な人々に道塾の取り組みを届けようと活動しています。

 これまで偶然の縁でブログをはじめとするウェブメディアに取り上げていただいたことはありますが、このようにニュースリリースを発表するのは初めての試みです。今回、約2年間の個人事業を経て会社化するにあたり、願わくば、この意を汲み、道塾の活動を広く世に伝えてほしい、その一念でこのようなリリースを送らせていただきました。

 道塾は、ほんのわずかでも教育格差の歯止めとして機能し、社会の構造を変える一助となり、一人でも多くの若者が未来に夢を描いて進学できるよう努めていきます。何卒ご検討くださいますようお願いいたします。ご多忙の中、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2009年3月1日
道塾代表 馬場 祐平