2008年12月5日

ふと気がついてしまったこと

 そりゃ、たしかに僕は大して頭がいいわけじゃなかったよ。小学校の頃も中の上だったし、入った私立中学では英語も数学も一番下のクラスだった。そこを辞めて転入した公立中学ではそれなりにできたけど、地元の優秀な奴らが入る高校ではやっぱりビリになった。

 しばらく経って、すこし本気になって受験勉強をしてみたら大学に受かった。今じゃ笑っちゃうけど、「俺はなかなかできるんじゃないか」なんて人並みの勘違いもした。でも雲の上に思えたその場所は、入ってみると小学校の頃と大して変わりはしなかった。天才もいれば、馬鹿もいた。もちろん僕は後者だった。だから、すこしは前者に近づきたいと思って努力してきた。

 でも最近ふと気がついたんだ。

 僕はやっぱり天才にはなれないらしい、って。

 アリストテレスみたいな博識にはなれないし、レオナルド・ダ・ヴィンチみたいな多才さもない。アインシュタインみたいなキレもなければ、村上春樹みたいな繊細さもない。あたりまえだと笑うかもしれない。でもそれは、僕にとってはちょっとした挫折で、けっこう凹むことだったんだよ。クリスマスのサンタが、実は親父だったのを知るみたいにさ。

 ……なんてことを思いながら、また、ふと気がついてしまう。それでも、やっぱり、生きてる限りは諦めきれない。そして僕は性懲りもなく雲の上を目指しはじめる。追い求める世界があれば、いつかたどりつけるだろうと馬鹿みたいに信じて。


 【フォト】 イルミシリーズ3、四ッ谷駅前。