画期的な試みではあるが、現実にはたいして読みやすいわけでもなく、たまに目を通しているくらいだった産経新聞iPhone版。ただ、会社化前日の3月1日に一面で組まれた「2030年」という連載は、テーマも内容も共感するところが多く、会社化当日のエントリーで内容に触れようか迷うほどだった。
結局それは取り上げないことにして『希望なき国に生まれて』というエントリーを書き、その記事のことはすっかり頭から消えていたのだが、今日の紙面で8回にわたる連載の第一部を受けて編集長が記事を寄せているのを読んで思い出した。
第一部の初回を読んだきりだったので、ウェブでまとめて読み直してみると、どの回も登場する人の声があまりに生々しい。データもショッキングなものが多いので、すこし長いがピックアップして転載してみようと思う。
連載は、「20年後、あなたは何をしていると思いますか」「あなたの20年後を想像してみてください」-と、さまざまな人に問いかけている。その問いかけは、私たちにも向いている。さまざまな人の悩み、逡巡(しゅんじゅん)は、私たちのものでもあった。20年前のことはいくらでも思いだせるのに、20年後のことは皆目わからない。あなたも一緒に、真剣に考えてみませんか。
取り上げられている人のセリフ
【2030年】第1部 働く場所はありますか(1)28歳派遣「鉄道マンが夢だった」 20年後、あなたの人生は?
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090301/trd0903010802004-n1.htm
「僕、鉄道会社に入るのが夢だったんです。だから、この道を歩きながらいろいろ考えてた。最初は工場にしか続いてないと思ってたけど、まじめに働いていればいつか隣のレールに乗れるかもなんてね。でもこの道を歩くのも許されなくなってしまった」
「最近はね、鉄道会社は夢でもいいと思ってる。でも夢を完全に捨てるという選択肢は最後までとっておきたい。それって人生をあきらめちゃうってことでしょ。20年後、どこへ向かうレールに乗っているのかわからないけど、やっぱり僕だって結婚して家庭を持って子供もほしい。普通の生活でいいんです。努力してこなかったと言われれば仕方がないけど、そうなるためのチャンスがもう一度ほしい」
【2030年】第1部 働く場所はありますか(2)4カ月で変わった日本 「根を張らねば生きられない」
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090301/trd0903012212018-n1.htm
「例えば、僕の派遣先の旋盤工も慣れると面白い。最初は指をはさんでソーセージみたいに腫れ上がったけど、機械を0・1ミリ単位で動かせるようになったときとか本当に充実感がある。でも派遣だから同じ職場にずっといることはできない。レールをすぐにはずされる。それがくやしい。この国は、向上心や自分の将来像を持ってはいけない若者をどんどん生んでいるような気がします」
「400~500人来たけどほとんどがスポットの連中。みんな僕よりずっと若くてジャニーズの子たちぐらいでね。正月から軍手はめて黙々と働く彼らを見てたら、何だか無性に悲しくなってね。将来、僕のようにはなるなよと声はかけといたけどね」
【2030年】第1部 働く場所はありますか(8)会社に代わるもの 日本が背負った「宿命」
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090310/trd0903100836003-n1.htm
「私は両親に『いい大学を出て、いい会社に』と言われて早稲田を卒業しました。それでも最初の会社はつぶれるし、今の会社も働きがいは見つけられない。それは自分にやりたい仕事もスペシャリストの要素もなかったからです。だからこそ娘たちには働く楽しさを、喜びを早い時期から考えてほしいと願うんです」
連載中に出てきたデータ
【2030年】第1部 働く場所はありますか(4)職業の“変換” 再就職3割はサービス業
http://sankei.jp.msn.com/life/ trend/090306/tr d0903060931009- n1.htm 独立行政法人労働政策研究・研修機構の全国調査によれば、終身雇用を「良い」「どちら かといえば良い」と思う人は平成13(2001)年は76%だったが、昨年は過去最高の86%。一つの会社に生涯勤めたいと考える人が増える一方で、その 実現は「希望退職」や「退職勧奨」の拡大により難しくなりつつある。【2030年】第1部 働く場所はありますか(6)21歳の「ハローワーク」 東大生も「雇用に不安」東京大学が平成18(2006)年に公表した「学生生活実態調査」。東大生に将来自分 がニートかフリーターになる可能性を聞いたところ、そう思うと答えた東大生が28%もいたのだ。さらに、そうした立場を「本人の責任」と考える学生が 46%だったのに対し、「社会の責任」と答えた学生も35%いた。
http://sankei.jp.msn.com/life/ trend/090307/tr d0903070801003- n1.htm 【2030年】第1部 働く場所はありますか(7)逃げる年金 若い世代だけがなぜ…
http://sankei.jp.msn.com/life/ trend/090309/tr d0903090746007- n1.htm 「欧米より平均寿命も高い日本では、20年後の年金受給開始年齢は68歳に引き上げられていてもおかしくない。現役世代が賃金カットやリストラで苦しむ中、現在の60代以上は雇用も確保されており、非常に恵まれた世代であることを自覚すべきです」
そして、連載第一部のラストはこう締めくくられる
【2030年】第1部 働く場所はありますか(8)会社に代わるもの 日本が背負った「宿命」
http://sankei.jp.msn.com/life/ trend/090310/tr d0903100836003- n1.htm 「私たちは会社というレールを一度失ったからこそ、働くことの喜びや意義に改めて気づ くことができた。毎日家にいると社会とのつながりが切れてしまう。自分の存在自体が必要ないんじゃないかと考えてしまう。自分が社会に役立っていると思え ることこそが、働くということではないでしょうか」日本には昔も今も「人材」という資産しかない。それは土地も資源もない国が背負った宿命でもある。働くことを「喜び」と感じられる。今、わが国が早急に取り戻さなければならないのはそうした社会ではないか。2030年はすぐにやってくる。
二流紙のように扱われている産経新聞は、実際当たり外れも多いものの、だからこそチャレンジングな企画も多いように感じる(iPhoneでの紙面公開もそのひとつ)。今日はじまった「受刑者」という刑務所にスポットを当てた連載もまた、「2030年」とは違った角度から、社会の表舞台では語られざる、しかし語るべき物語を切り出していて読み応えがあった。
くだらない首相叩きに紙面を費やしてないで、こういう企画に本気で取り組めばもうすこし新聞の価値も上がると思うのだけれども、そう簡単にはいかないのだろう。他力本願になっても仕方ないから、僕は僕のできることをやろうと思う。
「2030年」という連載には、希望なき時代において必死にそれぞれの希望を見つけようとしている人たちが描かれている。タイトルである20年後に僕らがどのように暮らしているか。それはすべて、今この瞬間をどう過ごすかにかかってる。
現状を非難するだけなら誰にでもできる。でも、それはどこにも届かない、なにも変えることのない虚ろな叫びだ。大切なのは、たとえ世界の片隅であっても、読んでくれる人へ向けて一語一語に想いをこめて語り続けること。そして、変化のために一歩ずつ地道に進むこと。
だから僕は語り続ける。
声なき声も、いつか届くと信じて。
2 Comment:
大学1年の時派遣バイトで数回話した高校生。「探せば派遣なら月10万稼げるからこの仕事が最高。」
声高々に僕に語った小奇麗な少年をふと思い出しました。
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