2009年2月12日

岡本太郎 『明日の神話』 日々を爆発させる

 山手線を渋谷で降り、乗り換えの井の頭線へ向かう途中で目に入ってきた『明日の神話』。メディアでも騒がれていたし、ホームページを見たこともあって存在はよく知っていたが、はじめて実物を見てその迫力に圧倒された。思わず立ち止まって写真を撮った。

 大学4年までは暇で仕方なかったので、時間を潰しによく美術館へ行った。すくなくとも月に1回は行っていたが、その中で岡本太郎に出会ったのは意外と少なくて、たしか国立近代美術館(の常設展のすみっこ)と青山にある岡本太郎記念館くらいだったと思う。

 これまで、本の中で語る岡本太郎と比べて、作品からは言葉ほどのエネルギーを感じることはなかった。銀座のソニービル近くにミニ太陽の塔みたいなのが立っているが、あれを見るたびにノーセンスだと思ってきた。岡本太郎の作品への期待が薄らいでいて、だから『明日の神話』が騒がれた頃も観に行こうと思わなかったのだろう。

 でも、観に行かなくて正解だった。感動を求めて美術館や世界遺産に行くのではなく、日常の中にいきなり踏み込んできて、岡本太郎のエネルギーが直球でぶつかってくるような、突然の出会い。こんな経験は、滅多にできるもんじゃない。それではじめて気がつくこともある。

 やっぱり、岡本太郎はホンモノだった。

 僕が芸術巡りをして行き着いた先は、「俺は芸術に向いてない!」ということ。でも今日の突然の出会いで、芸術ってやっぱりいいな、と一時はその道に憧れた人間として久しぶりに強く思った。岡本太郎も最高だが、『明日の神話』の設置場所にここを選んだ人も素晴らしい。

 絵を見て心が動かされたのは久しぶり。まぁ「絵」と言うはあまりにスケールが大きくて、心が動かされたというよりも鷲掴みにされたと言う方が近いが、おかげでその後の街並みがいつもと違って見えたし、テンションも高まった。

 ヘビーな鬱状態だった1月に比べて、2月はいい調子。感覚も、思考も、すべてが研ぎ澄まされていくのが分かる。こういう時は芸術に感動できるし、ひらめきが降ってくるし、未来を実現するもののように思い描くことができる。毎日が「爆発」している。

 このまま2,3月は過去にないスピードで加速していくよ。


 リンク 明日の神話 再生プロジェクト(@ほぼ日)